1.創立の基本精神
昭和24年、静岡県で教職員のための弘済貯蓄組合が設立され、26年には静岡県教育公務員弘済会と改組され、共済事業が行われた。これを全国的に広げ、昭和27年7月1日、日本教育公務員弘済会が創立された。
この時期には、戦中から戦後にかけての社会の混乱、食糧事情の悪化、人心の荒廃などから、教職員の生活もまた不安定な状況にあった。まず教職員の生活安定をはかることが、教育界の復興につながるという信念のもとに、この事業が推進されたのである。
当時の公務員、教職員の給料は世間一般より低い水準にあった。早期退職促進政策もすすめられた。また、退職後、年金がおりるまでの期間、困窮する教職員も少なくなかった。
さらに不幸にして一家の柱が失われた場合、遺族の生活保障もままならなかったのである。
2.全国組織へ
昭和27年、宮城、茨城、岡山の各県で組織を成立させた。その後、順次普及し、昭和28年に、山口、山形、鹿児島。29年に、東京、広島、香川をはじめ11都県。そして昭和33年には46都道府県にそれぞれ成立した。沖縄が本土復帰した翌年の昭和48年、沖縄県の成立によって、47都道府県に支部が勢揃いし、日教弘の全国組織が完成した。
3.財団法人となる
このような過程の中で日教弘は事業、組織、財政の整備充実につとめ、文部省(現文部科学省)に対して昭和29年6月財団法人設立を申請した。これを受け文部省は、翌昭和30年7月6日、財団法人設立許可を発令した。こうして、念願の財団法人日本教育公務員弘済会は誕生した。
財団法人日本教育公務員弘済会 設立趣意書
健全にして文化的な社会の建設は、教育の振興なしには到底望み得べくもありません。
而して此の教育の振興は、教育者自身の不断の研鑽に待って初めて之を為し得る事は云う迄もありませんが、更にその精神的、物質的安定をはかるべく、教育関係者の子弟にして前途有為の学徒に対する育英に必要な事業並びに教育関係者の特に有益なる研究に対する助成事業を行い、以って教育の進歩をはかる事も必要欠くべからざる事であります。
斯の様な観点に立脚して、私ども茲に財団法人日本教育公務員弘済会を設立し、この会の基本財産並びに附属財産を維持管理し、以って前述の達成に努め、之を通じ、以って教育の振興に寄与せんとするものであります。
昭和30年7月6日
4.たすけあいの輪
今日では、奨学事業、教育研究助成事業、教育文化事業、福祉事業、共済事業(提携保険事業)の5つの事業を柱に、たゆみない活動を展開しており、日本の教育界に多大の貢献を果たしているのである。しかし日教弘の今日は、はじめから約束されていたわけではない。戦後の荒廃した教育界再建に寄せる想いと、苦難に満ちた努力の積み重ねがあった。また、平成12年10月提携会社の破綻もあった。しかし、その苦難の道を立派に克服できたのも、教育に携わる仲間たちの“たすけあい”の輪を広げようという共通の理念があるからこそである。
日教弘設立の基本構想

1.現に教職にあるものはもちろん、退職後も含めた国公私立学校、教育関係官庁、教育関係団体等、教育公務員ならびにこれに準ずるものを含めた教育界のオール組織とする。

2.教育公務員を対象とした福祉事業団体であるという以外に、何等のイデオロギーも持たず、政治目的も持たない。

3.組織化の方向としては、教組、校長会、県教委等と密接に連絡しつつ事業を進めてゆくが、これらは各々それぞれ団体独自の目的を持っているので、これらと完全に独立した組織にする。

4.教育界は、現職の間はいろいろな組織を通じて、相互の関係が結びつけられているが、退職後は殆どそのつながりが切れてしまうので、その福祉を守るためにもこの会を退職者と現職者との連絡の場とする。

5.事業内容は、教組、校長会、学生協の行っている事業と可能なかぎり抵触しない福祉事業の新分野開拓を目指す。

5.公益財団法人として更なる教育の振興を目指す
平成24年4月1日、(財)日本教育公務員弘済会は新しく施行された公益法人制度改革三法に基づく手続を完了し公益財団法人 日本教育公務員弘済会となった。
目的事業として、教育振興事業を掲げ、奨学資金の無利息貸与・給付及び教育研究助成、また教育文化事業の充実に努め、今後も教育の振興に全力を挙げる。

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